皆さんこんにちは。株式会社火燵です。
今回は、動画編集におけるテロップや字幕の誤字脱字を、生成AIを活用してチェックする仕組みについてご紹介します。
動画が完成したあと、誤字や脱字がないかを一つひとつ目視で確認するのは、とても手間がかかります。

こうした作業に生成AIを取り入れることで、効率的かつ正確にチェックすることが可能になります。
使用するAIツール
では、実際の方法を解説していきます。
今回の生成AIを活用した誤字脱字チェック方法はGoogle AI Studioを使います。
Google AI Studio(グーグル・エーアイ・スタジオ)とは

「Google AI Studio(グーグル・エーアイ・スタジオ)」とは、Googleが提供する生成AIの実験・検証ができる無料のツールです。特別なプログラミングの知識がなくても、画面上にプロンプト(指示文)を入力するだけでAIが応答してくれます。動画やテキスト、画像のURLを貼り付けて「この内容をチェックして」などの依頼が簡単にできるのが特長です。つまり、生成AIを試しながら活用方法を学べる場所というイメージです。
注意事項
ただし、この仕組みを使う際には、3つの注意点があります。

まず、1つ目は生成AIによるチェックは、外部に公開する動画に限って活用してください。Google AI Studioの無料プランを利用する場合、入力したデータはGoogleの製品やサービスの改善、機械学習技術の向上のために使用される可能性があります。ご注意ください。
次に、2つ目は企業秘密を含む社内マニュアルや、クローズドな用途の映像には使用を避けてください。先ほどもお伝えしたとおりGoogle AI Studioの課金アカウントを使わない限り、入力したデータはGoogleの製品やサービスの改善、機械学習技術の向上のために使用される可能性があります。
最後の3つ目は「Human in the Loop」という考え方の徹底です。
「Human in the Loop」とは?

「Human in the Loop」とは、AIが間違えることを前提として、AIが出した結果を人間が確認・判断・修正するプロセスを取り入れることを意味します。
AIのチェック結果をそのまま鵜呑みにせず、最終的には人の目でしっかりと確認するようにしましょう。
プロンプトを入力する
プロンプト入力欄へ、動画のURLを入力し、「誤字、脱字、変な表現、一般的ではない表現。チェックしろ」というプロンプトを入力します。
今回チェックする動画は、音声がありません。ですので、AIは映像上の文字情報のみに反応するため、チェック内容が分かりやすくなります。
チェックする動画はこちらです。
00;00;00;00 – 00;00;04;29 今日今は晴れだ。
00;00;04;29 – 00;00;09;28 今日は晴れれだ。
00;00;09;28 – 00;00;14;27 明日は晴れだった。
00;00;15;02 – 00;00;15;03 最近はは晴れれだ。
00;00;15;18 – 00;00;20;17 ガチでわかりみ
00;00;20;27 – 00;00;23;17 明後日もも来たい。
00;00;28;17 – 00;00;30;26 明後日もも来たい。

実行結果
結果が表示されました。映像内画像の誤字、文法的な誤り、変な表現についてもしっかり修正提案してくれています。
完璧ですね!そして、すごく便利です。すごい時代になったものです。

しかし、一つだけチェック漏れがあります。
実は今回、あえて1フレームだけの誤字テロップを挿入していました。
15秒2フレームの部分です。

Google AI Studioのこちらの検証用の画面では、仕様で1秒に1フレームの間隔でチェックしてるようです。
自力で1フレームずつ確認する時には、Gemini APIやPythonでプログラミングをして処理をすることになります。
おそらく、皆さんが作る動画のほとんどは、テロップは数秒表示されることと思います。そのため、1フレームのテロップを認識できない点については、問題ないでしょう。
長尺動画を使って検証する
では次に、長尺動画を使った検証です。
当社が実際に公開している、20分の動画を使ってみました。
この動画は、音声と字幕がどちらも含まれています。そのため、生成AIにはあらかじめ、「音声部分は検証しない。あくまで映像の画像部分のテキストで誤字、脱字、変な表現、一般的ではない表現。チェックしろ」と指示しておきます。

このように指定することで、生成AIは映像内の文字情報にのみ着目し、チェック結果を出してくれます。実際に試してみたところ、しっかりと修正案を出してくれているようです。

プロンプトのコツ
チェックの対象を明確にする

まず1つ目のポイントは、チェックの対象を明確に指定することです。
- 映像内に表示されているテキスト、つまりテロップをチェックしてほしいのか。
- それとも、話し言葉を文字に起こした字幕をチェックしてほしいのか。
この違いをはっきりさせることが重要です。
例えば、「映像内のテロップをチェックしてください」あるいは「音声の字幕をチェックしてください」と、プロンプトの中でしっかり伝えましょう。
これを明確にするだけで、AIのチェック精度が格段に上がります。
プロンプトを分ける

続いて、2つ目のコツはプロンプトの分け方です。
「誤字脱字のチェック」と「表現の見直し」は、別々のプロンプトとして依頼するのが効果的です。
最初に誤字脱字のチェックだけを実行し、そのあとに表現の自然さや言い回しを確認するプロンプトを実行します。このように段階を分けることで、項目ごとに明確で精度の高いフィードバックを得ることができます。
逆に、一度にまとめてチェックを依頼してしまうと、AIが自動的に合理的な表現に修正してしまい、意図しない変更が入る可能性があります。
だからこそ、プロンプトは用途に応じて分けて使うことがポイントです。
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