皆さんこんにちは、株式会社火燵です。
本日はYouTubeアナリティクスを使った動画の分析方法についてお伝えしていきます。
その前にまず、動画を分析する前の大前提として、重要なことがあります。
動画の質はよいか?
いくら面白い企画であっても、画質が悪かったり音声が聞き取りづらい時点で視聴者には受け入れられません。
- 「高画質なカメラを使っているか」
- 「きちんと照明ををたいているか」
- 「音声がしっかり録れているか」
- 「ゆっくりと話して、視聴者に聞きやすい台詞になっているか」
など、まずは最初にこれらの点で動画の質をしっかりとチェックしておきましょう。
画質の良しあしはYouTube側からプッシュしてもらえるかどうかにも関わってくる重要な要素です。
その動画は「どっち」?
さて、動画の品質には問題ありませんでした。
では動画データの分析に入っていきましょう。
企業がYouTubeチャンネルを運営する場合、まずその目標が設定されます。
売上を上げる・リピーターを増やす等の目標(KGI)が設定され、それに対して手段(KPI)が定められます。
「とりあえず撮影しただけ」の意図があやふやな動画は、いくらアップしても効果がありません。
YouTubeの動画は大きく分けて「企画系」「情報系」の2種類がメインと言われています。あなたの動画はどちらに該当するでしょうか。
企画系
目標:自社に興味・関心を持ってもらう
手段:企画ものなどの「面白い」動画
情報系
目標:自社商品を選んでもらう
手段:比較検討、商品紹介、チュートリアル、セミナー動画など
「興味関心を持ってもらう」認知層に訴える場合や、「商品の情報を知りたい、他社の製品と比べたい」といった比較検討層に訴える場合で、とる手段が変わってきます。この2つを分けて考えておくことで、それぞれのKPIも変わります。
あなたの動画はどちらでしょうか?
まずは、そこをしっかり押さえておきましょう。
なぜ分析するのか
動画の目標(KGI)を定めたら、次に必要なのは「実現するための手段(KPI)」です。
この手段こそが「YouTubeチャンネルで行う様々な施策」にあたります。
動画を分析するのは、目標(KGI)にちゃんと合った手段(KPI)なのかを見極める必要があるからです。
例えば、社会人向けの求人サイト動画の場合、子供受けがいい動画をアップしたとしても効果は見込めないでしょう。この場合、KGIにもよりますが求職者(ターゲット層)に刺さる動画を作っていく必要があります。
また、1年間で動画を10本作成し登録者200人のチャンネルがあったとします。
この時、作成する動画の数を20本つまり倍にした場合、単純計算で登録者はいくらになるでしょうか。そう、400人ですね。例えばこのチャンネルの場合だと動画作成数を増やすことで登録者見込みの仮計算をすることができます。
このように、チャンネルや動画をきちんと分析し、改善することで、目標(KGI)達成を目指ざすことができるのです。
分析で見るべき4つの指標
動画データの分析には YouTubeアナリティクスを用います。
YouTubeアナリティクスには、チャンネル内の右上メニュー「YouTube Studio」からアクセスできます。
そのなかで、指標として見なくてはいけない項目は主に4つです。
- インプレッション
- クリック率
- 視聴回数
- 視聴者維持率
これらを確認するには、このアナリティクスの画面から「リーチ」タブをクリックしましょう。
ここで4つの大事な項目のうち、3つ「インプレッション」「クリック数」「視聴回数」を確認することができます。
では、項目を順番に見ていきましょう。
1)インプレッション
インプレッションとは、動画のサムネイルがYouTubeやWebサイトで表示された回数のことです。
インプレッションを上げるには、
- タイトル
- 説明文(ハッシュタグ)
- タグ
- サムネイル
これらの項目を確認しながら動画上のSEOを設定する必要があります。その後、これらの設定をこまめにチェックすることで数字を上げていくことができます。
各項目にはそれぞれ設定のコツがあり、例えばタグなどは、「概念を「大から小」へ小さく絞り込んで設定する」等の工夫を行います。
(例:自動車、セダン、トヨタ、レクサス)。
2)クリック率
「サムネイルが表示されたうち、視聴者がクリックした割合」を差します。
平均的には4~6%程度で収まると言われ、これが2%を切ってくると改善する必要が出てきます。
「インプレッション1万、クリック率が5%」の場合は「サムネイルが1万回表示され、500回クリックされた」ということになります。
クリック率を高めるには、できるだけサムネイルをクリックしてもらえるよう、
- コピーを大きく、テキストを少なく
- キャッチーなタイトル
- 直感的にコンテンツを把握できるデザイン
- シリーズ物の場合は、統一感
などといった工夫が必要となります。
先に「平均的には4~6%」と書きましたが、視聴回数が10万回以上ある動画を分析した場合、サムネイルのクリック率は7~10%を超えていることが多いです。このことからも、サムネイルのデザインや作り方が「クリックしてもらえるかどうか」に影響するということが良くわかります。
3)視聴回数
YouTubeの視聴回数は、SEOとサムネイルが影響を及ぼします。
具体的には、「インプレッション(表示回数)×サムネイルのクリック率」で、ほぼ決まります。
インプレッションとは、つまりキーワードの強さ(=SEO設定)ということになります。
この2つがバランスよくいかない場合は、
他の動画の関連動画に表示されたのに…
→サムネイルが見づらくてクリックされない
→企画が弱くてクリックされない
企画もサムネイルもいいのに…
→SEOが弱くて表示されない
と、せっかくの動画がイマイチな結果になってしまいます。
キーワードとサムネイルのバランスの良さを意識するようにしましょう。
4)視聴者維持率
4つの指標のうち、ここがYouTubeでは最も重要な数値です。
チャンネル全体ではなく個別の動画ごとの数値で、視聴者維持率や平均再生率を確認することできます。
アナリティクス(左メニュー) > エンゲージメント(上のタブ)
をクリックしてみましょう。
このこの画面の下部で、視聴者維持率が確認できます。
もっと細かく分析情報を見たい場合は、
コンテンツ(左メニュー) > 確認したい動画 >カーソルを載せたメニューで「アナリティクス」
を選んでください。
このように、その動画の分析情報が表示されます。
こちらの方が情報が多く掲載されているため、作業をする場合はこの画面を見ながら行うとよいでしょう。
この画面の下部に「視聴者維持率を左右する重要なシーン」という項目があります。ここで視聴者の動向を分析していきます。
平均的には30%程度を目安として、この数値が20%を切ってしまうと改善の余地ありと言われています。
ここを最大化することが、YouTube動画を効率化する最大のキーとなるでしょう。
視聴維持率が落ちている箇所
→視聴者が飽きないようにここの見せ方(BGM、演出、その他)を改善する
視聴維持率が上がっている箇所
→視聴者にとって興味深い内容。次回以降の企画に活かし効果アップを図る
以上、「インプレッション」「クリック率」「視聴者回数」「視聴者維持率」、この4つの指標の改善を試みることが効果的な動画運用への第一歩となります。
最初にやるべき設定
キーワードの設定
「1キーワード=1動画」の法則
まずは動画にとって一番大事なキーワードは何かを確認しましょう。
その動画が、検索上「何のキーワードで露出したいか」ということを考えると分かりやすいかもしれません。
例えばこのブログ記事を動画としたら「YouTube 分析」などですね。
その「最も大事なキーワード」を各入力欄の最初に設定します。
話している内容を全文掲載する
YouTubeはタイトルや概要欄などの文字情報も加味して動画の内容を分析します。
そのため、基本的に動画の中で話す内容はテキストにして、全て概要欄に掲載しましょう(概要欄は半角5000文字/全角2500文字)まで入力可能です)。
その中には動画に関連した複数のワードが入るはずなので、様々な単語が検索に引っかかり動画が露出しやすくなります。即効性はありませんが、じわじわと効いてくる「ロングテール戦略」と呼ばれるマーケティング手法の1つです。
またYouTubeが概要欄から動画内容を把握し、プッシュしてくれる可能性もあります。
トラフィックソース(流入)のチェック*
その動画における
- 「検索」での強さ
- 「関連(表示)」での強さ
がどのような状態かを確認します。
そのためには、現在の動画へのトラフィック(流入)割合がどうなっているのかを分析する必要があります。
確認する項目は以下の4つです。
これらの項目の割合の大きさで、その動画のどこが強いかが分かります。
- YouTube検索
→検索(SEO)が強い
→YouTube内の検索からの流入
→「SEO設定+視聴者維持率」をきちんとセットで対応して上がる - ブラウジング
→視聴者の興味が強いものの中から、視聴者維持率が強いものを表示する仕組み
→YouTubeアプリ起動時に最初に表示される画面からの流入 - 関連動画
→検索(SEO)が強い(タグ設定が影響する)
→動画が再生中・再生後におすすめされる動画リストなどからの流入 - 外部要因
→SNSのフォロワー、WEBサイトのアクセス数が高い場合有利
→WEBサイトなどに掲載されている動画からの流入
改善方法
「検索」が強く、「関連」が弱いケース
例えば「YouTube 分析」のキーワードで検索すると、動画が出て来るのに関連動画に表示されないケースなどがこれにあたります。
この場合は他のYouTuberが行っているような新しい企画などを盛り込んでみるとよいでしょう。
「関連」が強く、「検索」が弱いケース
似たジャンルの動画を調べ、検索設定を行うとよいでしょう。
関連動画やアプリ起動時(ブラウジング)に出るのにあまり検索されない場合は、そのジャンルで「検索されやすい」キーワードを設定しなおしてみましょう。
個別動画の分析
個別に動画を分析する際に、一番大事な指標は「視聴者維持率」です。
動画を分析する際は、この視聴者維持率のグラフを見ながらチェックする癖をつけましょう。
山と谷
では、実際に「視聴者維持率」を見てみましょう。
視聴維持率のグラフには「山(スパイク)」と「谷」があります。
アナリティクス上のグラフで見られるように、文字通り山と谷の形で見られる部分のことを差します。個別に動画を分析する際は、この山と谷の起伏や下げ止まりをチェックし、問題点を洗い出して改善案を検討していく作業となります。
谷(スパイク)
視聴者維持率がよい箇所
グラフでこの状態になっている箇所は「視聴者が興味を持って見てくれている部分」です。
「おっ」と視聴者の興味を引き、視聴者維持率が回復している部分ともいえます。
山
視聴者維持率が悪い箇所
動画上の「ここまで何かが悪く、視聴者を離れさせた部分」です。
ここを谷底として数値が回復しているため、逆に言えば「下げ止まりの部分」「思わず見てしまう部分」でもあります。
「見たいと思うものがよく映っていない」「音声が悪い」など、何らかの悪い要素=すなわち改善するためのヒントが隠されています。
平坦に維持されている
通常は右肩下がりに下がっていくグラフが保たれている、すなわちそれは「とても興味があって、視聴者が見続けている部分」です。
視聴者は「何に興味があって」「何に興味がないのか」。
具体的には、「山」になっている部分をさらに掘り下げたり、「谷」になっている部分を修正していく形で動画作りを進めるとよいでしょう。
視聴者維持率から、これらを分析していくことが個別動画において一番重要な施策といえます。
以上、
- 「キーワードの設定」
- 「トラフィックソースのチェック」
- 「個別動画の分析」
これら3点が、YouTubeアナリティクスを使った初期設定と重要な分析ポイントでした。
YouTubeチャンネルの改善はいつ行うのがベスト?
では、どの段階でYouTubeチャンネルの改善を行うのがよいのでしょうか。
特に難しく考える必要はなく「ある程度のデータがある場合、今すぐにでも」と考えればよいでしょう。
YouTubeのデータ分析では、データが多ければ多いほどその精度が高くなります。つまり既存チャンネルで長く運用経験がある場合などは、今までのデータの蓄積を分析することでより効果的な改善が見込めると考えられます。
あなたが既に何らかのチャンネルを運営している場合には、今すぐにでも始めてみることをおすすめします。
まとめ
チャンネルの改善、つまり分析と各施策を行うことで「視聴者は何を求めているのか」「このチャンネル、動画は何に強くてどこが弱いか」が見えてきます。最優先すべき対応をそのつど確認しながら、それぞれを進めていくようにしましょう。
最初に大きく改善を行い、その後月ごとに全体を見つつ、軽微な改善を重ねていくのが望ましい形です。
また、動画を作る際は、これらYouTubeアナリティクスの様々なデータ項目を意識するよう心がけましょう。それが視聴者のニーズに合ったYouTubeチャンネル作りへの第一歩となります。
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