皆さん、こんにちは。株式会社火燵です。
今回は、動画制作会社に就職&内定をもらう作品・ポートフォリオの書き方のポイントをお伝えしていきます。
2020年もクリエイティブ職は流動的
実は、火燵の2020年はさまざまなことにチャレンジした年でして、それに伴い多くのスタッフを採用しました。
ここ3年間、有料求人媒体は使わずとも採用活動には困っていなかったのですが、2020年は全国的にテレワークを実践する企業も増えたため、求人応募の数がかなり少なくなってしまいました。
そこで、Indeedに求人広告を掲載してスタッフを募集しました。結果、想定外に多くの応募をいただきました。
5月、6月はかなりの数の履歴書、職務経歴書、作品を拝見しました。
私の中では、作品を拝見する時間は楽しくもあり、貴重な時間です。精魂こめて作った作品は、どれも本当に共感できることも、また勉強になることも多いです。「この現場は規模がデカそう!」とか「かなり手間をかけて丁寧に作業しているなー」とか「こういう表現があるのか!参考になる」など……。
特にレベルが高いと判断される作品は、採用チーム全体で共有して会社のコンテンツ作りに活かしています。
クリエイティブ職の人気が後押しして動画制作者が激増
今年は特に、動画制作のスキルを持つ人がとても増えたなと実感できる年でした。新卒の説明会依頼も多かったですし、中途の応募も過去最高です。
採用する側としては早く採用合否を決めたいので、履歴書や職歴などの文字のみ資料よりも、作品の評価を最優先することが多いです。その方が判断が早いです。
やはり現場力です。技術です。現物を見ないと判断できません。
動画制作会社の採用担当者は、作品を見る時間がこれからも増えるでしょう。その時間は楽しくもあるのですが、あまりにも多いと疲れますし、制作時間を圧迫します。中小企業は、採用にかける時間をなるべく抑えたい、と思うでしょう。少人数の会社なら、採用は兼務になりますから尚更です。
動画制作会社に就職&内定をもらうための5つのポイント
そこで以下に、動画制作会社に就職&内定をもらう作品・ポートフォリオのポイントをまとめます。
これは皆さんが希望の会社に入社、内定されることへの願いもありますが、主には全国の同業の時間ロスを防ぐためです。弊社のパートナーも含め同業が採用に割く時間を減らすことで、業界人が制作の時間を確保できますし、少しでもミスマッチが減ればいいなと思います。
これを見ている同業の方には、是非ともご意見をいただきたいです。
提出できる作品を制作しておく
これは学生でも社会人でも同じだと思ってください。
学生の場合
- 「未経験歓迎」と書いてる求人でも、作品がない場合は高確率で不採用だと思ってください。
- 作品は、創作に向き合った時間や質を評価するためにあると思ってください。
- 作品が少ない人は「授業を真面目に受けてない」「暇な時間を創作に打ち込んでない」と思われます。
私の肌感では、作品数は2年生の専門学校や短大で5つ以上、4年生で8つは必要です。
私は短大で非常勤の教員をしており、4年生の大学生を数人アルバイト雇用しています。これまでに弊社に送られて来た応募を見てみると、この数を作ってくる学生が非常に多いように思います(新卒の応募で課題作品も含む)。
また数が足りれば良いわけではありません。クオリティも必要です。
作品には本人の技術力や人間性が滲み出ます。適当に授業を受け、妥協して作っているとクリエイター肌の経営者には100%バレます。本気で良いところに就職したい学生は、死ぬ気で作品を作ってください。
大学入学時点で作ることをお勧めします。3年になって作っても遅いですし、4年になってからでは手遅れです。
学生の時に真剣に向き合った時間だけ、社会人キャリア形成のスタートラインは素晴らしいものになります。
動画作品を見せるのではなく、作品に対するストイックさを採用担当に伝えるイメージです。作品を「ただ見せる」のではなく、「買ってもらう」覚悟を持つのをお勧めします。
社会人の場合
今はスマホでも動画が作れる時代です。「作品がない」なんて、動画制作が好き人ならあり得ません。
動画制作会社の経営者の観点からすると、動画制作が好きすぎて働く以前にとりあえずクオリティが低くても作っちゃう……そんな人を「動画制作が好き」と言います。
動画制作会社に転職をしたい人も多くいるでしょう。「動画制作に興味があるから転職したい。でも作品はまだないです」なんて方の応募も、実際に非常に多いです。
中小の動画制作会社が求める求人像は「動画制作に興味がある人」ではなく「動画制作が死ぬほど好きな人」です。求職者にとって、作品がない求人応募はギャンブルではありません。負け戦です。
中には業界経験がある方でも「仕事柄、守秘義務で作品を見せられない」というケースがあるでしょう。それなら、空いた時間に自分のポートフォリオを作って、作品を送りましょう。作品がないと技術は評価できません。
自己評価を分かりやすく
これは特に社会人の方にお勧めです。
今まで多くのデザイナーの職務経歴書を拝見しましたが、中には自己評価を5段階評価でグラフにした方がいらっしゃいました。しかもとても可愛いデザインです。デザインの力で自己評価を分かりやすく伝えたい、という気持ちが一瞬で伝わりました(採用したかったのですが断られました)。
この方法は素晴らしいです。皆さんもやってみてください。
例えば編集しかできなくても、以下のように自分が得意とする項目をあげれば、このグラフは完成します。
- CGやアニメーションが得意か?
- デザイン能力は?
- フォント選択は得意か?
- テロップの扱いが得意なのか? など
履歴書の特技に文字だけを書くよりも分かりやすいのでお勧めです。採用のミスマッチを防ぐこともできます。
YouTubeのURLのみを掲載しない
自分の貴重な人生の一部を使って、一生懸命作った作品です。どれもその時のベストの技術力や企画力で作った、自分の子どものようなものが「作品」と呼べるものだと思います。
せっかく送ってくれた作品なのに、職務経歴書にURLとタイトル、お客様名のみの掲載だけでは「作品に対する愛情がない人なのかな?」と私は思ってしまいます。
第一線で活躍しているクリエイターなら、自分の作った動画の1シーンを見ただけで、以下のことを即答できるはずです。
- 使ったカメラ
- 照明
- アプリ
- エフェクトなど
加えて、以下の項目も絶対にあるはずです。
- 制作期間
- 自分の担当
- かかった工数
- こだわった点
- 時間がかかった点など
そういったことを記載しましょう。
高級なコース料理をイメージしてください。コース料理は提供時に料理名と素材、調理方法なども紹介してくれます。「味と同時に情報も消費してください」ということなのでしょう。
工数や役割を聞かれて答えている時点で、採用活動は不利になっています。上記のように、全体での自分の担当や役割、掛かった工数を記載することで、経営層は仕事の採算の計算も頭の中でできます。
常に見る人の立場に立って資料を作りましょう。職務経歴書は在職期間で文字を埋めるものではなく「私は即戦力だよ」と提案するものです。
ディレクション能力を示す絵コンテの提出
動画制作会社の場合、絵コンテやディレクション能力が評価されることがあります。動画制作の流れの全体を管理できる人は、かなり貴重です。原則、動画制作フリーランスになる人も、ディレクションができるようになり独立する人がほとんどです。
もし、あなたが編集した動画作品の中に絵コンテの作成を担当したものがあれば、守秘義務の範囲内で絵コンテを再現して応募した方が良いでしょう。ディレクター職の場合は、絵コンテや企画書、管理表の提出が効果的かもしれません。
使えるアプリと得意なエフェクトやツールをセットで記載する
職務経歴書で使えるアプリを「Premiere Pro 使用歴:3年」と書いている人はいますが、得意なエフェクトやプラグイン、得意な作業などを記載している人はほとんどいません。
これは本当に制作会社にもよりますが、使えるアプリの種類を伝えるよりも、専門性の高いアプリの熟知レベルを伝えた方が効果的な場合もあります。
以上、弊社の採用活動を通して気がついた点があれば追記していきます。